お庭からベランダ、エクステリアなどガーデニング回りをスタイリッシュに演出

 

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気候変動の現実を見せつけられるようなニュースが連日続きます。

被害を受けた方々には何と申し上げたら......、言葉に詰まります。

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私も只今、新たな造園の現場で非常に危険な気持ちも持ちながら、熱中症に最大の注意をして、屋外作業が続いていました。

作業をしながら、今新たに作っているフラワーパークの新しい庭は、溶接の作業がありましたから、作業のみなさんが本当に心配でした。

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さて、今年の7月上旬のイングリッシュガーデンツアーは
⚫︎気候変動をいち早く受け止め
⚫︎先見性に満ちた先進国らしいイギリスの環境対策を反映
⚫︎21世紀のイングリッシュガーデンを
⚫︎アフターコロナのこの状況で
⚫︎しかも、とびきりに美しくデザインされたガーデン
実際に自分たちで見て、それを確認しようと言う目的を持っていました。
単なる観光旅行のつもりも、花見の気分もなく、いえ、花は見たかったけれど、上記の条件を乗り越えて美しく咲く花を見つけたい。
目的があって、それを探しましたが、結果は、考えていた以上でした。
イギリスのガーデニングワールドの意識の高さを見せつけられたような、では日本では....。まだまだ大きな課題を感じました。自分のガーデンデザインの課題もはっきりと見えてきました。
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今回のツアーでは、特に、注目のガーデンデザイナー、トム・スチュアートスミス氏のデザインした庭を見学すると言う目標がありました。
(写真はトム氏のデザインしたトレンサムのコンテンポラリー・イタリアン・ガーデン)
また、その奥様でもあるスー・スチュワートースミス氏の著書にも、感銘を受けていたので、実は今もその本に綴られた言葉の数々に日々浸っております。今は最新のイギリスの庭がそれを裏付けるようなものだったので、もっと強く。スー・スチュワートースミス氏の著書
The Well-Gardened Mind
日本で出版された邦題「庭仕事の真髄」があります。
ただ、装釘デザインやタイトルが、私のイメージに合わず
ここでは、あえて原題で。
しかし、こちらはもちろん、日本語で読める貴重な翻訳本です。
本書はまさにガーデニング・ウェルネスのバイブルにもなると思われる内容で
英語版
The Well-Gardened Mind: The Restorative Power of Nature https://amzn.asia/d/cjLJFU6 
ガーデナーでもあり 2023年今のイギリスで最も美しいと思われたマンチェスターにある
RHSブリッジウォーター。
そのランドスケープと庭をデザインしたトム・スチュアート-スミスさんの世界観を裏付けるような
そのパートナーである著者 Mrs. Stuwert-Smith 、ガーデナーであり、心理学者の語録です。
わたしが、このところ、迷って、悩んでいた想いの核心を
突かれたように思えたのがこの本でした。
A distinguished psychiatrist and avid gardener offers an inspiring and consoling work about the healing effects of gardening and its ability to decrease stress and foster mental well-being in our everyday lives.
特にメンタル・ウェルネスは、命にとってもまさに大切なこと。
ガーデニングをすること自体、草花を愛する私たちにとっては、切実に大切なことだと意識せざるをえません。
 The Well-Gardened Mind  The Restorative Power of Nature
読んで、とても救われました。
本文からいくつか抜粋
「バラは、薬剤をスプレイしないことには元気を回復できず、病気になった。
株を抜いてしまうのは気が進まなかったが、
自然に逆らって庭づくりをすることにどんな意味があるのだろう。
もちろんそんな意味はないし除去するほかなかった。
本当に残念でならなかったし、今も寂しい気持ちだ。
その庭に宿根草だけを植えてから、今やバラは、1本もないけれど
今もそこローズガーデンと呼んでいる。だから思い出はまだそこにある。
(その宿根草の庭がとても美しい!)
なにしろ、Tom Stewart smith 氏のプライベートガーデンなので。
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トム・スチュアートスミス氏の著書(amazon でイギリス経由で購入)
ちなみにTom さんの本の表紙 冬の庭景色.....すてき
来年あたり、トムさんのご自宅の庭のオープンガーデンのタイミングにポイントして
ガーデン・ツアーを今話し合っているところです。
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本文のその続きー
「庭の世話をすることは、いつも変化の途中にあるのだと知り、うまくいくことと、いかないことを見極め生かして、発展させることを意味する。
気候、土壌、そしてそこに育つ植物、育たない植物など、その場所の不可分の全体を見て関係に気づかなければならない。
これこそが、ガーデニングで取り組むべき現実であり、そうする中で、実はある種の夢は、あきらめざるを得ないこともある。
人間が自然を支配すると言う考え方が発展してきた事は、ガーデニングの歴史とその特質に記されている。
時代によって、自然を手なづけたり、抑え込んだり、あるいは強化したり、完全に支配したりもした。
そして、水や農薬をたっぷり撒いた場所の出現で、自然は消費されるものとなった。
最近では、私たちの周りに広がりつつある自然の木々とともに、庭が持っている人間の心身を修復すると言う能力と言う側面が目立ってきている
新しいナチュラリスティック・ムーブメント運動の影響で、ガーデニングにより、人が自然を自然を支配することが少なくなり、協調する場面が増えている。
同時に、自然をどのように理解し、どのように描くのかと言うパラダイムの変更が起きているのだ。
これまでは、弱肉強食、または利己的な遺伝子、といった考え方が、自然界に関する私たちの思考を形成してきた。
今や、これまでは「風変わり」とみなされていた考え方が、次第にメインストリームに入ってきた。
例えば、植物間コミュニケーションと言う全く新しい植物の植物学の分野。
樹木はコミュニティーを形成して、地下の近隣のネットワークとして、お互いに協力していると言うもの。
植物は、他の植物に、昆虫やその他の害虫の脅威から身を守ると警告する。
あらゆる手を用いて植物の世界は自力で集団的生存を可能にしている。
そしてこの集団的生存というのが、現在解決が急がれている問題だ。
気候危機は、生物多様性の危機とつながっている。
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ミツバチの個体数の減少に関する全国レポートは減少している。
気温上昇と生息地の減少、農薬の過剰使用と、その他の汚染による被害等の組み合わせで、地球全体の健康を支えている網の目状になった生存のつながり、そうとう重大な被害を受けている。
最近、生態学者たちが、家庭の菜園や庭の森のリンク調査を開始し、こうした場所が、種の豊かさを保存する生物、多様性、ホットスポット(局地的に何らかの値が高かったり、局地的に何らかの活動が活発であったりする地点場所、地域のこと)のような役目を果たしていることがわかってきた。そんな都会の庭は、周辺の田舎よりもはるかに大きな場所だ。
だが、同時に英国では駐車場設置のために前庭が減りつつあり、その結果3分の1の前庭には植物が全く植っていない。
庭は小さなものであっても、種々の野生植物の生息地になる可能性を有している。
市街地の庭に集まる鳥の密度は、国全体の平均の6倍であることがわかった。
多種多様な花を咲かせる。植物は様々な受粉媒介をする虫たちを惹きつける。
枝や腐った、葉っぱ、枯れた木の切り株等を積み上げて、見捨てられたような一角にも=昆虫の仲間たち、カブトムシといった虫たちに安息の地を要している。
家庭の庭の土壌は、多くの場合、微生物や菌類、線虫、その他すべての地を住処としている生き物に健康的な多様性を与えている。
これとは対照的に、農業地帯の土壌は滋味が痩せていることが多い。
第二次世界大戦後の農業技術の使用は、世界中の土壌の3分の1以上が死んだことを意味する。
表土は貴重な資源で、植物はそれがないと成長するのが難しく、1年でだめになると、再び表土が形成されるには、500年から1000年かかる。
ちょうど地球が持続可能ではなくなっているように、私たちのライフスタイルも心理的には持続可能ではなくなっているのだ。
最近では、うつ病が呼吸器官系の疾患を抜いて、全世界で、健康障害や肉体、身体障害の原因第一になった。
この気温上昇と Climate Grief が直結していると言うわけではないが、関係がないと言うわけではない。
問題は深くから絡み合っている。
生きる力を取り戻すために、人々が何を必要としているかを無視するのは、
自然が繁栄するのに何をすべきかを考えないのと、同じ兆候だ。
この問題は、大地を耕す(カルチベート)と言う意味の革新に直接直結している」

..........まさに
カルチベーションもガーデニングも、新しいフェーズが迫られていると思うのです。


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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